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以下は以前のブログから。
前回の補足の為と、エクスポートできないので保存の為もあって書き写します。
本能というのは、いわば標準装備みたいなもの。最初っから着いていて、非常に便利だ。しかし、標準装備である以上適応範囲は、対応能力は限られている。人間は、この大半がオプションみたいになっていて、後から学習したりする事で、装備されていく。人間は本能の大半をオプションとする事で獲得したものがある。それが文明や文化という、外在化され巨大化された身体だ。我々には、体毛はないが服がある、鳥の羽やチータの足に匹敵するあるいはそれ以上の移動手段を持っている、それら文明や文化というものを獲得する事で、この地球上での繁栄を極めてる。
人間は生理的早産だと言われており最初は、自分で這っていっておっぱいを吸う事すらできない。人間は生まれてすぐ自分の力で生きていく事はできない。だから、養護・養育が必要なのだ。人間を本能が壊れた動物と見るのは、この意味においてである。本能を、身体をオプション化できたのは、この生理的早産が原因なのだろう。
しかし、人間は本能が壊れているが全部ではない。実は人間には人とコミュニケーションをとろうとする本能が強くあるようである。人間にはミラーニューロンという、他人の行動を見たり真似たりするだけで、反応する神経があり、これによって技術や習慣や果ては文化までが伝播する事が可能となっているのではないかと目されているが。この伝播した、技術や習慣は受け入れられると一つの神経回路となって定着する。こうやって、ある集団内に共通の文化が伝播すればその集団は、皆おおむねほぼ同じような行動と習慣様式を行うようになる。このシステムがあるおかげで我々は社会を形成して、連携して共同で大きな仕事をなし得るようになったというわけだ。
しかし、このシステムは手放しで喜べるわけではないように思う。「私たちの脳は、それがひたっている文化的環境にしっかりしばりつけられている」と脳認知科学者のラマチャンドラン氏がいう。ならば、その文化に問題が発生した場合、その社会の、集団の進もうとする方向に問題が発生した場合どうなるのだ。だれがいったい軌道修正するのだ。できるのだ。
近年、自閉症はこのミラーニューロンに障害があるのではないかという仮説がある。このため社会性やコミュニケーションの発達に遅れや、そういうことに不得手だという性質が現れるという。けれども、高機能自閉症の自伝から察するに、その心理的反応はかなり普通で、一般の臨床心理学で説明がつき、そのため自閉症の異常は、比較的表層のレベルの問題であるのではないかと杉山登志郎(児童精神科医)氏が述べている。つまり、物の見え方が違うだけで、その心理的反応は正常レベルであるという事なのだ。これはしかし、先のような問題が発生した場合、むしろ有利に働くのではないか。なぜなら高機能自閉症は、文化的環境にしばられにくいという事を意味するからだ。しかも、高機能自閉症の中には一般レベルよりも、非常に高い知能を有するものもいる。それは、社会や文化の変革に対して、一役を担う事の出きる可能性を持っているということなのだと思う。いや、ひょっとするとすでに、我々の歴史上において様々な創造的な仕事をなし得た人々の中に、自閉症的傾向をもった者は、少なくなかったのではないだろうか。
先に述べたように、「人間は本能が壊れている」と、そしてさらにネオテニー(幼形成熟)だともいわれている。そういった意味では、人間は動物と比べれば、あきらかに発達障害的ハンデがあると言えるのではないか。そうだとするなら人間はハンデがあることで、文化や文明を持つ事ができたと、進化する事ができたということもできるのではないか。そうなると、自閉症的ハンデは人間的な進化の最たる部分なのかもしれない。
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